ALC壁はどんな人におすすめ?特徴と採用するときの注意点について

種類豊富な外壁材は、家の外観を決定する大きな要因となるため、どれを選ぶか迷う人も多いでしょう。外壁ひとつで家の印象は大きく変わるため、さまざまなイメージを検討しておくことが大切です。

ALC外壁は多くのメリットを有する外壁材です。そのため、最近では採用率も高まっています。そこでこの記事では、ALC外壁の特徴と注意点について解説します。使う前にメリットとデメリットを確認しておくことも大切です。

ALC外壁とは 

ALC外壁は100年以上前から製造されている建築資材です。まずは素材の特徴をよく理解しておくとよいでしょう。ALC外壁の特徴、メリット・デメリットを紹介します。

ALC外壁は軽量気泡コンクリート

ALCとは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」を略した呼び方です。日本語に訳すと「軽量で気泡の入ったコンクリート」という意味です。

通常のコンクリートであれば、中に気泡が入らないようにしますが、ALCの場合は、気泡を入れることで素材に特性を持たせています。外壁に使用されるALCは、金属の網で補強している点も特徴といえるでしょう。

外壁に使われるALC外壁は、金属の網で補強した外壁用のパネル建材です。ALCパネルは、国内では3社のみが製造を許可されているJIS規格に適合した製品でもあり、環境負荷低減も考慮した製品としても認められています。

パネルを組み合わせて使う

ALC外壁は、そのままではなくパネルの状態に加工します。そのため、ALCパネルと呼ばれることもあります。国内で3社だけが製造を許可された製品でもあるため、外壁材としては高額な部類に入ります。ただし、環境に優しく施工しやすい点は魅力といえるでしょう。

ALCには、一般パネルとコーナーパネルの2種類があります。それぞれのパネルにはさらに厚形と薄形が用意されているため、合計4種類のパネルを組み合わせることで外壁を組み立てていきます。

パネルをつなぎ合わせるのがシーリング材です。シーリング材で、パネルとパネルをしっかりとつなぎ合わせて外壁を作り上げます。

パネルの大きさには規定がある

ALCパネルは自由にサイズを決めてよいわけではありません。JIS規格製品であるだけあって、かなり細かな規定が定められています。サイズについては下に表でまとめておきます。

厚形パネル

区分厚さ/mm長さ/mm幅/mm
一般パネル平パネル外壁用100以上200以下6,000以下2,400以下
間仕切壁用75以上200以下610以下
屋根版用75以上200以下
床版用100以上200以下
意匠パネル外壁用・間仕切壁用120以上200以下

 

区分厚さ/mm長さ/mm幅/mm

コーナーパネル

平パネル外壁用・間仕切壁用100以上150以下400以下400以下
意匠パネル外壁用・間仕切壁用100
120、125
150、175、180

薄形パネル

区分厚さ/mm長さ/mm幅/mm
一般パネル平パネル35以上75未満3,000以下606以下
意匠パネル2,400以下
コーナーパネル平パネル35以上75未満3,030以下200以下
意匠パネル

ALC外壁を採用するメリット 

ALC外壁の特徴は、コンクリートに無数の気泡がある点です。この気泡があることで多くのメリットが生まれています。ここではALC外壁を採用する際のメリットについて解説します。

軽量なのに強度がある

コンクリートは重たいイメージがあるかもしれません。ただ、ALC外壁は通常のコンクリートと比較して1/4の重さとなっています。軽い外壁材を使うと施工しやすいため、工期が短くてすむ可能性が高くなります。

さらに、軽量であれば建物にかかる負荷が小さくなるため、耐震強度が高い外壁を組み上げることができるでしょう。

耐用年数が長い

一般住宅に限らず、医療用施設や高層ビルの外壁にも使われているのがALC外壁です。高層ビルや医療施設の外壁には高い耐久性が求められます。そのため、ALCは素材そのものの耐久性が高いという特徴があります。

コンクリートには通常、有機材が含まれています。そのため、経年劣化によるひび割れや反りが出てしまうことが多くあります。

その点、ALCは無機材で作られているため耐用年数は50年ともいわれています。しっかりとメンテナンスを行えば孫の代まで使えるともいわれています。

断熱性と防火性に優れている

無機材で作られているALCは、熱や炎の影響を受けにくいという特徴があります。火災に対する安全性を重視するならALC外壁を採用するとよいでしょう。さらに、断熱性が高いため季節関係なく快適な室内環境を保つことが可能になります。

ALC外壁を採用するデメリット 

特筆すべきメリットが多数あるALC外壁ですが、デメリットについても理解しておく必要があります。ここではALC外壁を採用する際のデメリットを紹介します。

サイズが小さいのでつなぎ目が多い

上の項目で解説したようにALCは、サイズが規定されたパネルを組み合わせて外壁を組み上げていきます。パネルのサイズが小さめであるため、シーリング材でパネルをつないでいかなくてはなりません。

ALCは耐水性が低いため、つなぎの部分が多いとシーリング材が劣化してしまう可能性が高まります。シーリング材の劣化は、ひび割れや雨もりが起こる可能性が出てくる点がデメリットといえるでしょう。

水に弱く定期的なメンテナンスが必要

前の項目で説明したように、ALC外壁は耐水性が低い点がデメリットです。コンクリート内にたくさんの気泡があり、スポンジ状になっていて水を吸収してしまう確率が高まります。

気泡に水が入ると素材が膨張して、ひび割れが起こりやすくなります。特に寒い地方では吸収された水が凍ってしまうため、はがれ落ちてしまうこともあります。

こうしたデメリットを補強するには、トップコートに防水性の高い塗料を使用するとよいでしょう。とはいえ、いずれにしても外壁材は住宅環境や地域性に左右されるため、気をつけておきましょう。

価格が他の外壁材に比べて高い

ALCは素材によっては通常の倍の価格になる可能性もあります。以下にほかの外壁材の費用の相場を示しておきます。

窯業系サイディング3,000円〜
金属系サイディング4,000円〜
モルタル4,500円〜
ALCパネル7,500円〜

メンテナンスを行う場合、初期費用と同等の費用がかかる可能性がある点は理解しておきましょう。

ALC外壁以外の外壁材の種類

ALC外壁のメリット・デメリットについては説明ずみです。そこでここからは比較するためにALC外壁以外の外壁材についてまとめておきましょう。

種類価格メンテナンスデザイン
窯業系サイディング3,500〜5,000円7〜8年重厚感や高級感がある
金属系サイディング4,000〜6,000円10〜15年デザインの種類が豊富
モルタル1,500〜4,000円5〜10年メタリックでスタイリッシュな印象
タイル7,000〜9,000円10〜15年高級感が出せる
ALC7,000〜15,000円10〜15年デザイン性の自由度が低め

窯業系サイディング

色、柄が豊富な点が特徴です。セメント質と繊維質を主原料として板状にした外壁材でもあります。価格も比較的手頃で、量産されている製品を現場で貼り付けるだけなので、施工する職人の技術力に左右されることが少ない点はメリットといえるでしょう。

金属系サイディング

耐久性に優れている点が金属系サイディングの特徴になります。中でもガルバリウム鋼板は、軽量であるため、外壁材に適した素材といえるでしょう。デザインはとてもシンプルでスタイリッシュな印象を与えます。

おしゃれでモダンなイメージの住宅を希望している場合は、金属系がおすすめです。

樹脂系サイディング

塩化ビニールを主原料としている点が樹脂系サイディングの特徴です。耐久性、メンテナンス性が高く、メンテナンスの必要性が低い点もメリットとしてあげられるでしょう。

とはいえ、取り扱いメーカーが少ない点はデメリットです。カラーバリエーションとデザインについても、ほかと比較してあまり種類がありません。

木質系サイディング

木のぬくもりを感じられる外観が希望なら木質系サイディングの使用がおすすめとなります。木材を加工した薄い板状の外壁材で、高級感のある外観を実現してくれます。

木材は経年劣化により質感や色合いが変化します。劣化ではあるものの、よほど古びた印象にならなければ変化が楽しめます。ただし、かなり劣化してくるとメンテナンスの必要性が出てきます。その際にかかる費用が高額になりやすいのも木質系サイディングの特徴となります。

モルタル

個性的なデザインに仕上げたい場合にはモルタルがよいでしょう。仕上げの方法によって、質感が異なるため、1980年代までは特に人気の高い外壁材として注目されていました。

ただ、職人の手作業で仕上げる点から仕上がりが技術力に左右されるため、技術力の低い職人が作業するとすぐにひび割れてしまったりすることもありました。このように、メンテナンスに費用がかかりやすいことから、最近ではあまり使用されなくなっています。

タイル

色やサイズ、質感・ツヤなどのバリエーションが豊富な点が外壁タイルのメリットとなります。耐用年数が半永久的ともいわれるタイルですが、その分初期費用についてはほかの外壁材と比較して高額になりやすいと考えておきましょう。

加えて、職人の技術力が低かった場合は、定期的にメンテナンスを行なったほうがよいでしょう。初期費用が高いということは、メンテナンス費用も高額になる可能性が高いと考えておきましょう。

ALC外壁を採用するときの注意点 

ALCを採用してみようと考えている人もいるでしょう。ここまでにメリット・デメリットについて紹介してきましたが、ほかの注意点もあります。

防水加工を施す

上の項目でも説明したとおり、ALC外壁は防水性が低いため、外壁塗装に使う塗料は防水性の高いものを選ぶことよいでしょう。中でもフッ素塗料は防水効果が高いためおすすめです。

ただし、防水塗料を使用すると経年劣化で塗膜がはがれた部分から内部に浸透した水分を抜くことが難しくなり、ALCが水分を吸収する原因になることもあります。

防水塗料を塗布する場合には、信頼できる業者に相談できれば安心して塗装も任せることができます。

自分の希望する塗装ができる施工業者を探したい場合には、外装塗装業者紹介サービス「Excite外壁塗装」がおすすめです。自社独自の審査基準を満たした優良塗装店のみが登録されており、一括で複数の見積もりを取ることが可能です。

シーリング処理をしっかりとおこなう

パネル状になっているのが特徴であるALC外壁は、シーリング材の使用頻度が高めです。シーリングは劣化しやすい部分でもあるため、シーリング部分が多いということは必然的にメンテナンスの回数が増えることになります。

シーリング材でつながれた部分が破損するとそこから雨もりする可能性もあります。シーリングのメンテナンスは、完全に充填し直す打ち替えと古いシーリングはそのままにして、新しいシーリングを充填する打ち替えの2つの方法があります。

塗料には透湿性に優れているものを選ぶ

ALC外壁は雨水が染み込みやすいという性質もあります。そのため塗料は透湿性の高いものを選ぶことをおすすめします。防水塗料を塗るのもひとつの方法ではありますが、経年劣化による塗膜のはがれなどを考えると、透湿性の高い塗料にしておいたほうが塗膜に与える影響を最小限にすることができるでしょう。

メンテナンスを定期的におこなう

ALC外壁は耐久性が高い点が特徴です。だからといって、メンテナンス不要ではありません。定期的なメンテナンスはALC外壁にとって必要不可欠です。

外壁塗装とシーリングの打ち替えを行うことでより長くよい状態を保つことができるでしょう。

ALC外壁はこんな方におすすめ

 

ALC外壁の特徴とほかの外壁材を比較してきました。ALC外壁のメリット・デメリットを理解した上で、採用をおすすめしたい人の条件について紹介します。

価格よりも耐用年数を重視したい人

ほかの外壁材と比較して2倍の費用がかかることもあります。価格が高額でもその分、メリットが多く、自宅の外壁に採用できれば長い目で見て節約することもできるでしょう。

価格が高くても、長い目でみて劣化をできるだけ防げる外壁にしたいという人にはALC外壁が向いているでしょう。耐用年数がおよそ50年と長いため、定期的なメンテナンスを行なっておけば、比較的長くよい状態を保つことができるでしょう。

電気代を抑えてエコな暮らしをしたい人

ALC外壁は通常のコンクリートと比較して断熱性が10倍といわれています。そのため、外壁材として使用すれば快適な住環境を整えることができるでしょう。さらに断熱材と併用することで夏は涼しく、冬は暖かい環境で生活できるため電気代の節約にもつながります。

ALC外壁材は耐用年数と強度にこだわる人におすすめ

ALC外壁の価格は通常の外壁材の2倍となっています。ただし、耐用年数はおおよそ50年、軽量で耐震性にも優れ、防火、防食性も高い点は魅力です。デザイン性に関してはほかの外壁材に劣りますが、耐用年数と強度を重視した家づくりを目指す人にはおすすめの外壁材です。